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ご挨拶

坂元 茂樹の写真1948年に国連総会が採択した「世界人権宣言」の第1条は、「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等である」と規定しています。しかし、残念なことに最近では在日韓国・朝鮮人、中国人や同和地区の人たちに対するヘイトスピーチが行われ、こうした人たちの尊厳を傷つける言動が行われています。政府による実態調査によれば、2012年4月から2015年9月までに1152件のヘイトスピーチの発生を確認したといわれています。

ヘイトスピーチとは、一般に、人種、民族、性などの属性を理由として、その属性を有するマイノリティの集団もしくは個人に対し、差別、憎悪、排除、暴力を扇動し、または侮辱する表現行為をいいます。2014年に行われた自由権規約および人種差別撤廃条約の日本の政府報告書審査の場でもこの問題が取り上げられ、日本に対して事態の改善を求める勧告が行われました。

こうした指摘を受けて、法務省は「ヘイトスピーチ、許さない」というポスターを作成し、ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動を行い、国民の意識向上に努めています。同時に、2016年には、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が成立し、第3条で、「国民は本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない」との基本理念を定めました。21世紀を「人権の世紀」とするためにも、世界人権宣言の人権基準の実現が求められます。

世界人権問題研究センターは、京都が人権の分野でも世界に対して積極的に発信するために、1994年に建都1200年事業の一環として創設されました。もとより人権の分野においても、時代の推移や社会の変化に伴って、女性やこどもの貧困、インターネットによる人権侵害など、たえず新しい人権課題が生じます。われわれセンターは、こうした新たな人権課題にも積極的に取り組みたいと考えています。センターがこうした新たな課題に取組み、問題の解決のための理論的な究明にその責任を果たせるよう、みなさまの温かいご支援とご理解をお願いする次第です。

2016年7月11日

(公財)世界人権問題研究センター
所長 坂元 茂樹
同志社大学法学部教授