理事長ご挨拶

世界人権問題研究センター理事長 坂元 茂樹
公益財団法人世界人権問題研究センター
理事長 坂元 茂樹

人権文化の創造をめざして

 世界人権問題研究センターは、1994(平成6)年に平安建都1200年記念事業の一つとして京都に創設されました。京都の歴史と文化は、人権文化の創造と深いかかわりをもっていたにもかかわらず、明治の平安建都1100年の記念事業では、残念ながら人権問題に対する認識はきわめて不十分なものでした。その課題を受け継いで設立されたのが、世界人権問題研究センターです。当研究センターは、これまでの調査・研究活動の成果により、日本のみならずアジアにおける人権問題研究の貴重な研究組織として、国内外から高い評価を受けるに至っています。

 1994(平成6)年に文部省認可の一般財団として世界人権問題研究センターがスタートしてから、2024(令和6)年には30周年を迎えました。その間、2012(平成24)年には内閣総理大臣認可の公益財団法人へと移行し、現在は100名余の研究者により、時宜にかなったテーマを設定して研究を進めています。

 共同研究・個人研究の調査と研究の成果は、『年報』及び『研究紀要』に集約するとともに、当研究センター主催の「人権大学講座」をはじめとする講座や季刊誌『GLOBE』、さらにはエキスパート・コメントなどにも反映させ、府民・市民のみなさまへの分りやすい情報発信にも努めています。

 世界人権問題研究センターは、多様化する人権問題について新たな展開を図るとともに、府市民が人権について学び、交流する拠点となるべく、2023(令和5)年10月に京都市立芸術大学新キャンパス内に移転しました。当研究センターは、同大学新キャンパスの立地する崇仁地域に移転することで、文化庁の京都移転と相俟って、文化芸術と人権を基軸としたまちづくりと融合し、持続可能で多様性と包摂性のある魅力あふれる京都の未来を創造し、国内外に交流・発信する人権の拠点としての役割を担ってまいります。

 21世紀は人権の世紀といわれていますが、人権問題に対する地道な研究を通して、人権問題を解決するための実践力を一人ひとりが培わなければ、21世紀を人権の世紀として構築することはできません。世界人権宣言(1948年)は、「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等で奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものである」(前文)と述べて、人権の保障が平和の基礎であるとしています。

 世界人権問題研究センターは、さらなる人権研究の充実に取り組み、すべての人々が、さまざまな困難を克服して、お互いに人間としての尊厳と権利を尊重し合い、「誰一人取り残さない」形で一人ひとりが幸福を求めて生きることのできる多文化共生社会の実現に今後とも貢献してまいります。

2024(令和6)年4月