プロジェクトチーム3
子どもの人権
これまでの様々な研究や調査では、政策策定現場や支援実践現場において、子どもが権利の主体とする「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」の「子どもの権利」理念が定着しているとは言い難い現状にあることが明らかになっている。そして、この理念の未定着、またはその軽視や忘却は、子どものための取組みを恩恵・慈恵的なものとする社会認識の革新や学校組織・学校文化の刷新につながらず、教育と福祉の連携・協働のための改革が未だ十分に進まない要因の一つになっていると考えられる。
今年、2023年4月に「こどもまんなか社会」を目指すこども家庭庁が発足し、子どもの権利を包括的に定め、子どもが権利の主体とする「こども基本法」が施行された。日本が同条約に批准して以降約30年越しの国内法整備となった。同法は、子ども施策を総合的に推進することを目的としており、子どもの権利保護のための大きな一歩となった。しかし、法律が成立したことですべての課題が解決するものではなく、これからの法律の運用が重要となる。
プロジェクトチーム3「子どもの人権」では、こうした社会動向を捉えながら、子どもの人権をめぐる諸課題に対し、社会福祉、教育政策、教育学、歴史学、財政学、法学を専門とする研究者や子どもの支援に取り組んできた実践家による領域横断的・学際的な対話をベースに研究を進めている。とりわけ、子どもの貧困対策の実現を支えるために、子どもの権利理念が実践現場に活かされ、これを維持し続けられる政策と実践現場の構造はどうあるべきか、実践の裏付けとなる「子どもの権利」理念にしっかりと立脚した協働モデルの提示を目指している。
研究員名簿
役職 | 氏名 |
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リーダー | 山野 則子(大阪公立大学大学院現代システム科学研究科教授 ・ スクールソーシャルワーク評価支援研究所所長) |
専任研究員 | 有江 ディアナ(世界人権問題研究センター 研究員) |
嘱託研究員 | 呉 永鎬(鳥取大学地域学部・准教授) |
嘱託研究員 | 川上 泰彦(兵庫県教育大学大学院学校教育研究科教授) |
嘱託研究員 | 惣脇 宏(京都産業大学 現代社会学部 客員教授) |
嘱託研究員 | 田中 宏樹(同志社大学大学院総合政策科学科研究科教授) |
嘱託研究員 | 村井 琢哉(NPO法人山科醍醐こどものひろば理事長) |
嘱託研究員 | 村上 正直(大阪大学名誉教授・招へい教授) |